2年前、頸椎症(けいついしょう)の手術を受けました。現在は週1回、リハビリを続けていますが、手足のしびれが治まりません。最近、「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)という言葉を耳にしました。リハビリを続けて改善するのか、ロコモティブシンドロームを予防するには何をしたらいいのか教えてください。(福井県福井市、80代男性)

【お答えします】水野勝則・福井総合病院整形外科部長

 ■しびれ全治は困難なケースも

 頚椎の手術は、「脊柱管(せきちゅうかん)」の中を通る神経の圧迫を解除する目的で行います。しかし、手術前の圧迫が著しい場合には、手術により圧迫を解除しても神経の変性は残るため、神経由来のしびれが続くことがしばしばあります。

 残存したしびれの治療としては、内服薬(ビタミンB12製剤、血管拡張剤、プレガバリン、抗うつ薬など)、神経ブロック療法、低周波治療などがあります。

 ただ実際には、いずれの治療法でもしびれをゼロにすることは困難なことが多いです。あまりにしびれをなくすことにこだわり過ぎると、かえって脳で強く認識されてしまい、しびれを強く感じるようになってしまいます。しびれがある自分を甘受しながら日常生活を普段通り行い、自分の好きなことに打ち込む、という姿勢が何よりも大切だと思います。

 ■日々の運動習慣が大切

 また、質問にあるロコモティブシンドローム(通称ロコモ)という言葉は、日本整形外科学会が2007年に新たに提唱した疾患概念です。加齢に伴う変形性関節症や脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などの運動器の障害により、筋力やバランス能力が低下して転倒しやすい状態となることを指します。

 転倒して骨折すると、運動能力はさらに低下してしまい、要介護リスクが高くなります。従ってロコモの段階でリハビリを行い、転びにくい体をつくるということは、超高齢化社会を迎えた現在の日本にとって非常に重要です。

 リハビリは週1回だけでなく、毎日自分で地道に続けることが最も大事です。日本整形外科学会では「ロコモティブシンドローム」に対するトレーニング(通称「ロコトレ」)として、「片足立ち」と「スクワット」をお勧めしています。中でもスクワットは、いすに腰かけた状態で前方の机などに手をついて、立ち座りを繰り返すだけでよいので手軽にできると思います。日々の運動習慣として取り入れてみてはいかがでしょうか。

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