今年3月に撮影されたJR東日本の長野新幹線車両センターに整然と並ぶ北陸新幹線の車両(下、同社提供)。台風19号による大雨の影響で浸水被害を受けた(上)=10月13日、長野県長野市赤沼

 台風19号の記録的大雨による堤防決壊で水に漬かった北陸新幹線車両をJR東日本が調べた結果、床下にある電気系統の機器に重大な被害があったことが10月17日、JR関係者への取材で分かった。浸水車両をそのまま運転に使うのは困難という。

 同社は台車など一部の再利用か、新たに車両を製造することを含め検討する。上越新幹線に投入予定だった同じ種類の車両を一部転用し、運行に必要な本数を確保することも調整している。

 浸水した10編成120両の製造費は300億円超とされる。車両に掛けられている水害に伴う保険の補償範囲はごくわずかで、適用できるかどうかも不透明。経営への打撃は不可避となった。

 北陸新幹線の車両はJR東、西日本両社が共同開発。長野県長野市の「長野新幹線車両センター」では、JR東の「E7系」8編成と西の「W7系」2編成が水に漬かった。

 関係者によると、センター周辺で水が引いたため、15日から車体の点検を開始。センターの多くの設備も浸水しており、車両に通電させて検査することができない状態という。

 JR東は今後詳細な点検と分析を進める。一部再利用になった場合は補修場所、新規製造なら浸水車両の解体や処分法を詰める必要がある。新幹線の部品は特注。時間的早さやコスト面を考慮し判断する。

 E7系は、今年3月のダイヤ改正から上越新幹線に3編成が投入された。上越新幹線は2022年度末までに現行車両から置き換え、E7系に一本化する計画だったが、車両不足になった北陸に一部を振り替えて手当てすることを検討している。

 E7系、W7系車両は北陸新幹線の急勾配区間に対応しモーターやブレーキが特別仕様。路線の途中で、電力の周波数が切り替わることにも対応した設計となっており、ほかの種類を転用することはできない。

 北陸新幹線は台風被害のため、長野―上越妙高間が不通となっており、東京―金沢間の直通運転の再開は1~2週間後を目指している。浸水車両は全編成の3分の1に及ぶため、再開後も運転本数は従来の5~6割程度に減る見込みだ。

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