【越山若水】人間に後悔は付き物である。それはどんなことですか? と問われれば、誰しも間髪を入れず一つや二つは答えられるはず。いや、思い当たることが多すぎて困惑するかもしれない▼米国の心理学者が大学生に後悔について質問してみた。すると「試験で不注意なミスを犯した」「酔っぱらって羽目を外した」「車をぶつけてしまった」などの回答が目立った。つまり自分が過去にやってしまったバカなこと、失敗した経験を挙げる傾向が強かった▼ところが同じ質問を老人ホームのお年寄りに実施してみた。すると結果はどうだったか。意外にも「世界中を旅行したかった」「サルサダンスを習っておけばよかった」「何か楽器を弾きたかった」など、学生とは対照的、過去にやらなかったことを後悔したという▼「やった後悔よりやらなかった後悔」。人生経験が豊富なお年寄りが出した結論である。そうと分かれば、自分に新しいチャンスが訪れたとき、しかしその判断に迷っているとき、どう行動すべきか答えは明白だろう(「この脳の謎、説明してください!」青土社)▼新年度が4月にスタートして、早くも下半期に突入した。半年間の反省を踏まえ、新たなチャレンジの時宜である。何かを始めることに不安も多いが、前向きに取り組めば人生は充実する。「やらぬ後悔」は避けるべし―。先達のアドバイスである。

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