手編みの乳房パッド(手前)を作る「マジックリング」のメンバー=福井県福井市の福井県済生会病院

  10月は乳がんの早期発見や検診の重要性を啓発する「ピンクリボン月間」。乳房を切除した女性患者向けに、毛糸で手編みして作った「乳房パッド」が注目を集めている。軽さと手編み特有のぬくもりが好評で、福井県内でも患者らが作り方を伝授する活動の輪を広げ、闘病中の不安に寄り添うアイテムにもなっている。

 毛糸で作る乳房パッドは、米国が発祥といわれる。毛糸をらせん状に編み込み、丸みのある三角すい形にして、中に綿を詰め込んで膨らみを持たせる。綿100%のため肌触りが良い上、医療用のシリコンパッドに比べて軽く、通気性も良いという。洗濯機で洗えるので扱いやすく、かぎ針と毛糸、綿があれば手軽に作れるため、経済的負担も軽い。インターネット上で交流していた患者の会のうち、有志が「magic ring(マジックリング)」という名称のグループを作って各地で普及を進めている。

 福井県内でも同グループのメンバー数人が、約3年前から活動。福井市の福井県済生会病院内のメディカルカフェではプレゼント用の乳房パッドを展示し紹介しているほか、毎月第3金曜には手編み講座を定期開催している。参加者は縫い目や綿の量を調節して大きさを変えながら、お気に入りのデザインや模様を付けていく。メンバーの一人で“先生役”を務める福井市の女性(48)は「作業に集中することで病気を忘れられるし、診察待ちなどの空き時間に手軽に編めるからいい。かわいく作って自由自在に楽しめるのが魅力」と笑顔を見せ、小型の乳房パッドで作ったアクセサリーを見せてくれた。

 講座は入院患者にも好評で、情報交換の場にもなっているという。同病院がん相談支援センターの河内康恵・看護師長は「体験者の生の声を聞くことで前向きになった人もいて、心のケアにもつながっている」と話す。メンバーたちは「ニットセラピーという言葉があるくらい、編み物は心が落ち着く」「パッド作りを通して、ほかの患者さんの心に寄り添いたい」などと話しながら講座を楽しんでいる。

 次回は10月18日午後1時から。参加無料。問い合わせは同センター=電話0776(28)1212。

関連記事