【論説】関西電力の幹部が多額の金品を受領していた問題で、八木誠会長らが引責辞任した。岩根茂樹社長は第三者委員会が年内にとりまとめる調査結果を待って辞任するとしている。1週間前の社内調査委員会報告書の公表時には、原因究明や再発防止策を理由に続投の意向を示していたが、世論の厳しい批判を受け、辞任に追い込まれたというのが実態だろう。

 関電が2日に公表した調査報告書では、今年3月に90歳で亡くなった高浜町の元助役、森山栄治氏から役員ら20人が現金や商品券、スーツの仕立券など総額3億1845万円相当を受け取り、うち原子力事業担当の役員と元役員の2人は1億円を超えていたなどと説明した。

 その後、新たな疑惑が次々に浮上。森山氏が顧問を務め、関電から入札を伴わない「特命発注」を受けていた地元企業が、直接金品を渡していたケースもあることが分かった。原子力以外の部門や、20年以上前から金品の受領があった疑いもある。

 森山氏が相談役を務めていた兵庫県高砂市の企業の社長が、原発を所管していた前経済産業相の世耕弘成・自民党参院幹事長に600万円の献金をしたことも明らかになった。関電の報告書は、森山氏に関して「国会議員に広い人脈を有している」としており、金品の流れは政界にも広がる可能性がある。発足した第三者委員会は、関電の報告書をなぞるだけでは済まされない。

 一方、国策として原発再稼働を推進する政府が疑惑解明に大きな責任を果たすのは当然だ。しかし、臨時国会で徹底追及の構えを見せる野党に対して、安倍晋三首相は「第三者の目を入れて徹底的に全容を解明することが不可欠」と紋切り型の答弁に終始している。野党は関電役員らの国会招致を求めているが、自民党は「民間企業の不祥事で招致した前例はない」などと拒否している。

 関電や政府、与党には早期に問題の幕引きを図り、再稼働への影響を抑えたいとの思惑が透ける。森山氏は亡くなっており、捜査機関による刑事責任追及には高いハードルがあるとされる。国会で早急に調査態勢を整え、八木氏らの招致、資料請求など万策を尽くさなければならない。

 今回の問題で、高浜町をはじめ福井県など原発の立地自治体のイメージは大きく損なわれた。住民からは「辞任は当然」といった声が上がる一方、「説明責任があることに変わりない。事実関係を明らかにしてほしい」との声も絶えない。原発政策の根幹に関わる問題であり、政府内からも批判が相次いでいる。国会が解明に踏み出すべきだ。

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