記者会見を終え、一礼する関西電力の八木誠会長(左)と岩根茂樹社長=10月9日午後4時35分、大阪市内

 関西電力役員らの金品受領問題で、八木誠会長(69)と原子力事業本部(福井県美浜町)の本部長を務めていた森中郁雄副社長(62)ら原子力部門のトップ3人が10月9日、辞任した。15年前の美浜原発事故でトップが退陣を迫られた教訓を生かせず、福井県内の立地住民らからは「辞任は当然」と厳しい指摘がある一方、原子力へのイメージ回復を願う声も上がった。

 高浜町の建設業者は「辞任は当然」とばっさり。「関電の事なかれ主義の結果がこの問題を招いた。再出発し地元建設業者との関係を含め信頼を一から築き上げてほしい」と語気を強めた。「辞任しないと世論が認めない」と話すのは同町の60代男性。「原子力に絡むイメージは一段と悪くなった。払拭(ふっしょく)するには相当な時間が掛かるだろうが地道に努力を重ね、生まれ変わった姿を示してもらいたい」と求めた。

 関電は2004年に11人の死傷者を出した美浜原発3号機蒸気噴出事故の際に、当時の社長が引責辞任し、会長も退任した。美浜原発では破裂した配管が運転開始から28年間点検されなかった。

 再びトップが辞任する事態に、美浜町の建設業者は「地元業者の仕事はどんどん減っている。とにかく良い方向に早く収束してほしい」と切実に訴えた。おおい町の建設業者は「原発の再稼働、40年超運転を控えている。原子力事業のイメージ悪化が収まるといい」と話した。

 一方、役員らの辞任を求める抗議文を関電に提出していた「オール福井反原発連絡会」メンバーで、小浜市の明通寺住職中嶌哲演さん(77)は「辞任は当然だ。不当な手段を使ってでも、経営陣が老朽原発などを再稼働しようとしたことが、今回の問題の背景にあることを忘れてはいけない」と指摘した。

 元福井県原子力安全対策課長で福井工業大学の来馬克美教授は「今回の問題は県民、国民に原子力への不信感を大きく与えてしまった。(金品を受け取っていた)原子力事業本部の3人が辞任というけじめをつけることは当然のこと。原子力が信頼されるよう、大きな反省を持って再スタートしてほしい」と注文した。

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