【越山若水】福井を代表する食といえばソースカツ丼や水ようかんを挙げる人が多いが、油揚げを抜かすわけにはいかない。スーパーには多くの商品が並び、専門店も人気だ。福井市は1世帯当たりの油揚げ・がんもどきの購入額が5446円(2018年総務省家計調査)で、56年連続で日本一になった▼消費量が多いのには理由がある。タンパク質が豊富でボリュームがある上、煮たり、焼いたりでき調理が簡単。共働きが多い県民にはありがたい食材だ。歴史的にも浄土真宗の報恩講料理で提供され、なじみ深い味だ▼歴史学者の磯田道史さんがテレビ番組で、揚げるときに使う油について解説していた。江戸時代初めまでの油は高価なえごま油だったが、江戸中期になると菜種油が普及した。しかし産地は大阪などで福井ではあまり採れず、仏事など特別な日の料理として油揚げが提供されたとの自説を披露していた▼福井の油揚げは他県のよりも分厚い。製法も独特だ。120度の油でじっくり揚げて気泡を膨らませ、さらに高温で揚げ表面をカリッとさせる。気泡が多いほど味がしみ、ふっくら感が増すという▼「日本一のあぶらげ王国・ふくい」をPRする初のイベントが12、13の両日、福井市のハピテラスで予定されている。店による食べ比べなどのほか、油揚げのスイーツやカレーも味わえる。新たな魅力を発見できそうだ。

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