簡易宿泊所の外の蛇口から勢いよく流れる水=2019年8月、長崎県の赤島(笠井利浩教授提供)

 福井県福井市の福井工業大学の学生らが、水道のない長崎県の赤島で整備を進めてきた雨水を使った給水システムが8月、本格稼働した。10月3日に福井市の同大福井キャンパスで報告会を開き、成果を発表。プロジェクトをリードした同大環境情報学部環境・食品科学科の笠井利浩教授(51)は「先進事例として、雨水活用を全国に普及させていきたい」と力を込めた。

 赤島は五島列島にあり面積約0・5平方キロメートルで約10人が暮らす。上水道や井戸がなく、自宅に設置した貯留槽に雨水をためて生活用水を確保している。

 給水システムは「雨畑」と名付けた波板で集めた雨水を大型貯留槽にため、浄化した上で供給する。笠井教授とデザイン学科の近藤晶講師(37)、両研究室の学生が2017年に給水システムを基にした「赤島活性化プロジェクト」をスタート。毎年8月、赤島に約3週間滞在し、雨畑や最大6トンの雨水をためられるタンクなどを設置した。今夏は、タンクから島内にある簡易宿泊所まで120メートルの配水管をつないだ。また、3月には福井市の小中高生を招き、雨水を使った生活を体験してもらうプログラムも行った。

 報告会では、笠井教授や学生が3年間の取り組みを振り返り、宿泊所の外の蛇口から勢いよく水が出る様子や歓声を上げる島民の姿を映像で紹介した。また、降り始めの雨は塩分濃度が高いという水質調査結果や、水利用に関するアンケートから島民の節水意識が非常に高いことなども報告した。

 表寺佳奈さん(環境・食品科学科4年)は「蛇口から水が出てきたときは感無量だった」と振り返り、野村利空さん(同)は「島で一番きれいな水。島民の安心につながれば」と話していた。

 今後、降り始めの雨水をコンピューター制御で効率的に取り除く装置を設置し、島民に利用してもらいながら給水システムのデータ収集を行う。将来的には宿泊所の営業許可を取り、体験プログラムの拠点にしたい考え。笠井教授は「赤島の活性化につなげていきたい」と意欲をみせていた。

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