【論説】福井県内外の大学生が、坂井市竹田地区で住民と交流しながら自然を生かした活動に取り組む「竹田Tキャンプ」が今年で4年目を迎えた。事業を始めた2016年度から20年後の36年度を見据えた「20年計画」を構想、中長期的な視点で密度の濃い「関係人口」の蓄積を目指している。初期の参加者が大学を卒業する今後は、社会人らへと「縁のネットワーク」が広がっていくはずだ。

 竹田地区は、坂井市唯一の中山間地域で自然豊かな環境に恵まれた山里。しかし、近年の少子高齢化と都市圏への流出により、人口は300人余りと急速に過疎化が進んでいる。

 Tキャンプでは、学生が毎年8~9月と2~3月、空き家で共同生活しながらプロジェクトを展開。学生の発想、熱意と地域に伝わる知恵や経験の融合を目指している。本年度の夏キャンプは8月8日に始まり、9月20日まで44日間実施。16大学の53人が、イノシシ肉を使ったラーメンの開発や、竹田川に川床を作るなどのプロジェクトに取り組んだ。学生たちは「より深く地域の人たちと仲良くなり、貢献できれば」と奮闘した。

 Tキャンプの総合ディレクターを務め、今年15回目となった鯖江市の河和田アートキャンプを企画運営する総務省地域力創造アドバイザーの片木孝治さんは、9月に坂井市三国町で開かれたアーバンデザインセンター坂井主催の「三國湊夜咄(よばなし)会」で、Tキャンプの目的は、移住者を増やすことではなく、地域の実情や課題をよく知り、長く関わる関係性をつくることと話した。

 住民と大学生が協働して地域の課題に取り組むことで、地域が元気になるだけでなく、竹田地区が学生にとってかけがえのない場所になっている。事業開始から20年後は20歳で参加した学生が40歳。Tキャンプを経験し、社会の中核層で活躍するOB、OGが現役の学生と協働する形をつくり、竹田地区に「新しい縁のネットワーク」を構築するのが狙いだ。

 アートキャンプは長年の活動を通して住民と学生の間に固い絆を結んだ。昨年までに参加した学生は約900人に上り、このうちOB、OGの約20人が鯖江に移住し地場産業に従事したり起業したりしている。今後は竹田でもこうした動きが出てくるかもしれない。

 夜咄会は、Tキャンプの学生が、三国でまちづくりを進める学生らと意見を交わす機会ともなった。三国と竹田の継続的な交流や連携にも期待したい。

関連記事