【越山若水】都道府県による各種ランキングでの順位争い。昨今はちょっと過熱気味だし、実感を伴わないデータも散見されてはいる。とはいえ幸福度ランキング1位、人口10万人当たりの社長輩出率1位、小中学生の全国学力、体力テストで例年トップクラスなど福井県は、まずは健闘との評価が妥当であろう▼こうした福井県のデータを分析し地域特性を解明、4年前に出版されたのが「福井モデル」(文藝春秋)。経済誌「Forbes JAPAN」の編集長、藤吉雅春氏がその筆者で「人口減少などに早く気づいた地域には一歩先を進んだ社会のヒントがあるのではないか」とする問題意識から、事例を掘り起こし地域再生の指針としてまとめた▼先ごろ来福、経営者と学生の交流イベントで、出版の意義を語った。鯖江市の眼鏡業界を例に挙げ「良い競争と協働システム」が早くから好循環となっていたと言及。明治期の増永五左衛門が組織した「帳場制」がその原型だと著書でも紹介している▼この仕組みを支え、受け継がれているのが福井県の教育力、勤勉性。さらに身近な人や仕事仲間などからなる「人と人の強い関係性」だと持論を強調▼ただ、一方では、「うっとうしい」などといったネガティブな面も併せ持っているとの指摘も重い。これまで残念ながら意識さえしてこなかった「強い関係性」。真摯(しんし)に向き合いたい。

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