【論説】時代劇や歴史物から童話の世界へ。そして菊人形展示の無料化。4日に開幕する北陸の秋の風物詩「たけふ菊人形」は、68回目の今回で大きな転換を果たす。積み重ねた歴史に新しいページを紡ぐ今年のたけふ菊人形は、越前市にどのような変化をもたらすか、期待が膨らむ。

 パステル色調のイラストで王女が描かれたポスターを目にした人なら分かるように、今年の菊人形のテーマは「花ひらく童話の世界 story of the Princess」。第18回から定着していたNHK大河ドラマの名場面から一転、シンデレラ、白雪姫、竹取物語などの5場面が用意される。

 また、昨年までは見流し館内での有料展示だった菊人形を屋外展示とし、無料で見られるのも大きな変更点だ。会場への入場は2017年から無料化されている。大型遊具や飲食、今年新たに設けられたトリックアート館への入場、OSK日本歌劇団観劇などを除き原則として無料だ。

 変更に踏み切った背景には、会場となる武生中央公園に17年、同市出身の絵本作家かこさとしさんが監修した「だるまちゃん広場」が完成。若い親子連れを中心に大人気となり、同公園の18年の観光入り込み数は106万6千人と、県内有数の人気観光スポットに成長したことが大きい。今年の菊人形の「童話の世界」は、広場同様に若い親世代の人気を集めるだろう。

 期間中のイベントでは、全人口の約5%が外国籍市民で多文化共生を推進する越前市らしく、ブラジルフェスティバル、ハロウィンデー、アジア博in越前市なども開かれる。日本人にとっても異文化に触れる好機になる。

 OSKは今年で40回目の記念公演となり、越前市出身の劇団員も登場する。福井県内で1カ月の連続公演はめったにない催しで今年もファンにとって大きな楽しみだ。

 越前市はかこさんだけでなく、絵本作家のいわさきちひろも輩出した絵本のまちで、13年には読書のまちを宣言。「ちひろのうまれた家記念館」を中心とするアートゾーン整備構想もある。25万人の入り込みを見込むたけふ菊人形が「童話の世界」にかじを切ることで、絵本のまち構想はさらに弾みがつく。

 加えて望みたいのは25万人もの来場者を市内に誘導し、まちなか全体のにぎわいにつなげる次の一手だ。他の観光施策との具体的な連携が見えてきて、たけふ菊人形の大きな変更は完成を見るのだろう。

関連記事