まな板の角を機械で丁寧に削る受刑者(手前)=福井県福井市の福井刑務所

 福井刑務所(福井県福井市一本木町)に服役する受刑者が、刑務作業の一環としてまな板や革財布、花台などを作っている。一つ一つの作業に丁寧に取り組み、技術はもちろん規律や勤労意欲、忍耐力なども養う。「服役前とは違い、少しずつ集中力が身に付いてきた」と語る受刑者もいる。

 9月上旬、敷地内の工場棟。丸刈りの男性受刑者がいすに座って黙々と手を動かしていた。緑色の作業ズボン、白い下着シャツ、帽子姿。製品を作る工場棟は3棟あり、一つの工場に約30人が並んで作業する。冷房はなく、暑さを和らげるのは扇風機のみだ。私語は厳禁。刑務官の見守る中、企業から受注した生地の縫製や機械の分解のほか、矯正展などで販売するまな板や革財布を作る。

 作業は平日。午前6時半に起床し、午前7時50分に取りかかる。午後4時半に作業を終え、同9時に就寝する生活を繰り返す。「木の材質の見極めや、完成まで試行錯誤する大切さを学べている。集中力が身に付いてきた」。こう語るのはイチョウの木でまな板を作る男性受刑者(30)。木くずのにおいが漂う一角で、長方形の木材を慎重に削る。

 男性は窃盗罪で服役し2年目。服役前「適当にやってりゃいい、早く時間が過ぎればいいと思っていた」という仕事に対する認識は、作業を通し大きく変化した。「今は、買った人が手にしてどう思うかを考えながら作っている。将来は人のためになる仕事をしたい」。まな板の表面は、これ以上ないほどつるつるに仕上がった。

 福井刑務所の金子雅仁・首席矯正処遇官(企画担当)は、作業の目的について「規律ある生活態度、共同生活への順応性、勤労意欲などを養い、再犯防止につなげること」と語る。革財布を作る受刑者らは、針を器用に動かし部材を丁寧に縫製。畳のへりを使ったおしゃれな名刺入れや小銭入れを作る受刑者はミシンを巧みに操る。金子処遇官は「作業を中心に、職業訓練や教育も含めた取り組みが、受刑者の更生につながっていくと信じている」と話す。

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