【越山若水】百人一首ならぬ四人一首というゲームがある。競技かるたを元にし、点字や拡大文字付きの札で視覚障害がある人も楽しめるよう考案された「バリアフリーかるた」の基本的な対戦法だ▼まな板ほどの大きさのボードの四隅に1枚ずつ札を固定し、場に4枚の状態で行うから四人一首。100枚中の10枚を使い、1枚を取ったら次をボードに補充するといった具合。点字を頼りに暗記、健常者はアイマスクを着ける。場にない空札(からふだ)が読まれることもある▼慣れた人はボードを使わず畳の上で対戦し、札を瞬時に払う技術を持つ。ルールを考えたのは、ある小学校の先生。弱視だった子ども時代に「みんなと一緒に札を取り合いたい」と夢を抱き、全盲となってからも実現を目指してきた(全日本かるた協会機関誌68号)▼支援者らの団体が大会運営に乗り出し、同協会もサポート。用具の改善が進み、聴覚にも障害がある人のため点字通信機器を使う方式の研究を始めた人もいるとか。「自分もやってみたい」「できるようになりたい」との声に応えようとする、伝統文化の懐の深さだ▼競技かるたは漫画「ちはやふる」で爆発的に広がった。バリアフリーかるたも多くの人に受け入れられる素地がありそう。今は都市部中心だが、同協会は来年、東京五輪・パラリンピックに関連付けた大会を開く。地方普及の弾みになるといい。

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