【越山若水】携帯電話やメールの発達で、サラリーマンは四六時中会社に身柄を拘束されている“軟禁状態”。家族旅行の最中に連絡が入り、取引先と打ち合わせをした経験は誰にもあるだろう▼しかし働き方改革が叫ばれる中、日本でも「つながらない権利」を導入する動きが徐々に出始めている。というのも長期のバカンス制度が整備された欧州では、公私の区別をはっきりさせるため、この権利を労使で協議するよう法律で義務づけている国もあるからだ▼ドイツで20年勤務した隅田貫(すみたかん)さんは「仕事の『生産性』はドイツ人に学べ」(KADOKAWA)でこんな話を紹介する。「ウアラウプ」と呼ぶ長期休暇を取る場合、不在であることを知らせる「out(アウト) of(オブ) office( オフィス )」メールを設定するのがお決まりらしい▼「○日から○日まで休暇を取っています」とメッセージを入れ、急用のときに対応する担当者を明示しておく。そのため事前にしっかり引き継ぎを行うが、海外に滞在中も電話に悩まされる心配はなく、休暇を満喫できる。相手もお互いさまで帰るまで待ってくれる▼4月に働き方関連法が施行され、はや半年が経過した。残業時間の上限が定められ、有給休暇の年5日取得が義務化された。日本人は休むことに遠慮があるが、働き方改革はまず「休み方改革」から。手始めに「つながらない権利」を普及させたい。

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