創作絵本のストーリーと原画を完成させ、出版に向けて寄付を募っている宗田光一さん=9月18日、福井県越前市内

 福井県の越前市地域おこし協力隊で芸術家の宗田光一さん(64)が、絵本を生かしたまちづくりを進めようと、県内の伝説から発想を得た創作絵本の出版を目指してネット上で寄付を募るクラウドファンディングをスタートさせた。北海道出身で今年4月から同協力隊として活動を始めた宗田さんは「深い信仰心に基づいた福井の人たちの慈しみの心を絵本を通して伝えたい」と張り切っている。

【寄付はこちら】福井の心を伝えるために。創作絵本『めおと鬼』を出版したい!

 宗田さんは数学をモチーフにした現代美術などに取り組む芸術家として活躍する一方、還暦を過ぎてからは同協力隊としても活動。長野、熊本、栃木のまちづくりに携わった後、今年4月に越前市に着任した。加古里子、いわさきちひろを輩出した同市にちなみ、絵本を生かしたまちづくりを目指している。

 市内で暮らして「初めて分かる周囲の思いやりの深さに驚いた」という宗田さん。注目したのは、あわら市の伝説「嫁おどしの鬼の面」。鬼の面が取れなくなったしゅうとめに対し、心優しい嫁は面で驚かされたことなど気にせずにしゅうとめを助けるために念仏を唱え続けるという物語。「憎しみを忘れ、慈しみと優しさで返す。福井の人たちの信心深さと優しさの原点を感じた」(宗田さん)。

 ヒントを得た宗田さんはオリジナル絵本に向け、着任早々にあわら市の吉崎御坊に通うなど取材を重ね、心優しい鬼の夫婦と少年が登場するストーリー「めおと鬼」を完成させた。6月からは本職を生かして温かみのある水彩画で10シーンを描き、絵本の素材がそろった。さらに越前市内に息づく伝統工芸の越前和紙を活用し、絵本のカバーは和紙で制作する予定。読み聞かせなどで親子が和紙の手触りを楽しむ機会につなげていく。

 600部出版に向け、寄付額の目標は85万円。期限は10月25日まで。宗田さんは「歴史ある仏教文化の下、育まれてきた福井の心は全国に誇れる。絵本を通じて子どもたちに脈々と受け継がれている本当の優しさ、思いやりとは何かを伝えたい」と話す。

 福井県が県内の同協力隊や事業者が挑む地域活性化の11プロジェクトを認定し、ふるさと納税を活用して支援する事業の一つ。福井新聞は情報発信、福井銀行は経営サポートで協力している。クラウドファンディングサイト「レディーフォー」から寄付できる。

⇒「ふるさと納税による新事業創出支援事業」プロジェクト一覧

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