【越山若水】子どもに無料か安価で食事を提供する「子ども食堂」の輪が全国に広がっている。NPO法人などの調査によると、今年は全国で約3700カ所が活動。2018年と比べ1・6倍に急増し、福井県内にも昨年比9カ所増の24カ所ある。いまなぜ子ども食堂なのだろう▼NPO法人の理事長で社会活動家の湯浅誠さんが、坂井市で開かれた講演会で背景や意義を語った。少子高齢化で地域が寂しくなり、商店街も衰退。人々が出会う場がなくなった。そこで「人と人がふれあいにぎわう地域の交流拠点が求められていた」▼子ども食堂といっても、お年寄りも参加する「多世代交流の場」だ。孤食をなくすだけでなく、子育て支援や高齢者の健康づくりにつながる。貧困の連鎖を断ち切り、地域を元気にする。重要なのは「そこからはじかれる子どもをつくらないこと」▼月1回から毎日食事を提供する所までさまざま。規模は数人から数百人まで、会場も個人宅から寺院まで多種多様だ。やりたい人がやれる雰囲気ができつつある。そんな敷居の低さが魅力だ。ただ、運営費やスタッフの確保が難しい。安全な管理体制などの課題を耳にすることもある▼とはいえ、「多くの人と関わることで価値観が変わる」「社会とつながることは災害などの際のセーフティーネットになる」と湯浅さん。閉鎖社会にともる希望の光のようだ。

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