【越山若水】関西などの学生が鯖江市河和田地区に滞在し、住民と交流を深めつつ創作活動に取り組む「河和田アートキャンプ」。今年で15回目を迎え、地域に有形無形の大きな実りをもたらしている▼きっかけは2004年の福井豪雨だった。災害支援活動に入った学生たちは、伝統の漆器産業が停滞する地区の課題に触れた。過疎化も進んでいた。そこで、大学で学んでいるアートやデザインで力になれないかと考えた▼活動は学生を成長させただけでなく住民の意識を変えた。作品展示会に合わせ地区への来客が増え、職人が工房を公開し来客をもてなす動きが広がった。若者たちの「田園回帰」志向にもマッチ。昨年までに約900人の学生が参加し、そのうち約20人が鯖江に移住し、地場産業に就いたり起業したりしている▼OGの一人で事務局を預かる石井瑞紀さん(25)によると、当初の催しに訪れた小学生は、大学生となりキャンプに参加している。「人材の循環」だ。「この先、キャンプで生まれた品を販売する場ができたら」と夢を語る▼今年のキャンプにやってきたのは6大学の約60人。交代で40日ほど滞在し、漆塗りのアクセサリー作りや地元住民約80人分の名刺を作るプロジェクトなどに取り組んだ。その成果を21、22日に同地区で開かれる催し「中道アート」で披露する。若者たちのチャレンジ精神に触れてみたい。

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