杉本彩さん(正面左端)の団体が主催した「動物愛護法改正のふりかえりと今後の課題シンポジウム」=6月、東京都内の衆議院第2議員会館

 動物虐待の罰則強化などを盛り込んだ改正動物愛護法が6月成立した。「虐待を取り締まれる社会」を目指す愛護団体から一定の前進との評価がある一方、福井県内で2018年春発覚したような大量繁殖場「子犬工場(パピーミル)」問題で、客観的な虐待判断基準になると期待された飼育数などの数値規制は「環境省令で明示」にとどまった。9月20日から26日は同法が定める動物愛護週間。改正内容と県内外の動きを探った。

 ■「奇跡的」

 「これだけいろいろなことが改正されたのは奇跡的」。公益財団法人「動物環境・福祉協会Eva」(東京)の理事長で女優の杉本彩さんは6月、衆院議員会館でのシンポジウムで改正を評価した。

 改正で▽子犬・子猫の販売ができない期間を生後49日以下から56日以下に拡大(生後8週齢規制)▽捨て犬や捨て猫を防ぐマイクロチップ装着義務化―などが盛り込まれた。特にEvaが注力していた「殺傷、虐待・遺棄罪の厳罰化」は、殺傷が「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に厳しくなった。虐待・遺棄は罰金100万円に「1年以下の懲役」が加わった。

 ■数値規制道半ば

 ただ、福井県内の動物販売業者が犬猫約400匹を過密飼育、繁殖していたような「子犬工場」で、虐待かどうかの判断基準は環境省令の改正を待つ形になった。

 県内の過密飼育問題は、虐待かどうかの判断が行政や愛護団体で分かれた。

 動物愛護法違反(虐待)容疑で刑事告発した公益社団法人日本動物福祉協会(JAWS、東京)や、福井地検の不起訴処分に対し「不当」と議決した福井検察審査会はともに「虐待」とした。

 一方、業者を指導監督する福井県は問題発覚時に「明らかな虐待はなかった」と明言。福井地検も虐待容疑を不起訴とした(検察審査会の不当議決を受け再検討中)。

 改正法は▽飼育施設の構造・規模▽環境の管理▽繁殖の方法―などの順守基準を「環境省令で具体的に明示する」とした。基準が「具体性」を持つかどうかは省令改正次第だ。JAWSの町屋奈(まちや・ない)調査員は「厳罰化に実効性を持たせるためにも、警察や検察が判断しやすい虐待の定義の明確化が必要」と訴える。

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