鶉地区で度々見られるコウノトリの親子=9月11日、福井県福井市内

 福井県福井市鶉地区は、国の特別天然記念物コウノトリと人が暮らしやすい環境づくりに向けて寄付金を募っている。同地区は以前からコウノトリ飛来地として知られ、住民らが環境整備に取り組んできた。最近は、県内の野外で58年ぶりに巣立った幼鳥と親鳥が餌をついばむ様子が毎日のように見られ、住民たちの「次は鶉で繁殖を」との思いは強い。当面の目標は、市内で初めてとなる人工巣塔の建設。コウノトリをシンボルとした環境活動に再び乗り出す考えだ。

 同地区は、坂井市内で繁殖したペアが営巣する直前まで巣作りをしていた地。最終的に坂井市に落ち着いたものの、親鳥と幼鳥4羽は日常的に地区へ訪れている。

 2006年には住民有志が「鶉の里調査隊」を発足させ、地区の子どもたちと無農薬の米作りに挑戦するなどしてきた。現在は活動を休止しているが、ペアの飛来に合わせて鶉公民館が公民館だよりや館内の掲示物で情報を発信。8月末に地区で開かれた講演会では巣塔を建てる構想が挙がり、自治会長20人でつくる同地区自治会連合会は環境整備に向けて寄付を募ることを申し合わせた。

 同自治会連合会長の徳島泰彦さん(65)は、親子を見ない日がないほど、近くで生活しているといい「コウノトリも生きられる自然を、しっかりと残していきたい。今、地区でできることは、少しでも子育てしやすい環境の整備」と話す。

 巣塔は、高さ約13メートルの電柱の上部に直径1・6メートルの円形巣台を乗せる予定。整備費として70万円弱を見込み、9月上旬から寄付を募り始めた。次の繁殖期前に設置しようと設置場所を選んでいる。県自然環境課によると、巣塔は越前市に7基、鯖江市と小浜市、若狭町に1基ずつある。福井市内に設置されれば初めてという。

 今後は、住民らでつくる「鶉でコウノトリを育てる会(仮称)」を発足し、耕作放棄地を活用したビオトープ造りや生き物調査などに取り組む考えもある。巣作りシーズンからペアを見守ってきた同公民館の新屋恵主事(54)は「豊かな環境を目指しつつ、コウノトリが地区の特色の一つとなり、まちの活性化につながれば」と期待した。

 寄付は1口千円。同公民館へ持ち込むか、福井信金川西支店で9月末まで受け付けている。問い合わせは、コウノトリ係事務局(同公民館内)=電話0776(83)0433。

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