【論説】内閣改造で再登板した高市早苗総務相は就任早々、難しい判断を迫られている。ふるさと納税を巡り過度な返礼品などで寄付金を荒稼ぎしていたとして、6月にスタートした新制度から除外した大阪府泉佐野市の扱いだ。この対応を不服とした同市は自治体行政に対する政府の関与の是非を審査する「国地方係争処理委員会」に申し立てし、係争委は除外を再考するよう総務相に勧告した。高市氏は10月4日までに判断を示す必要がある。

 係争委の勧告は、総務省が新制度以前に「調達費は寄付額の30%以下」「返礼は地場産品」と促してきた自粛要請には法的拘束力はなく「国の助言などに従わなかったことを理由に不利益な取り扱いをしてはならない」とした。さらに「国の関与は最小限度とし、自治体の自主性、自立性に配慮しなければならない」とした地方自治法に抵触する恐れもあるとしている。

 係争委は、国と地方の関係を「上下・主従」から「対等・協力」に転換した1999年の地方自治法改正に伴い、翌2000年に設置された。総務省に置かれ、総務相が任命した有識者5人で構成している。いわば身内から「NO」を突きつけられた格好だけに、地方分権の旗振り役である総務省にとっては痛恨の極みだろう。

 ふるさと納税は「故郷への恩返し」などを掲げ、福井県が提唱し、国は08年に導入した。総務省には税収の東京一極集中の是正する狙いがあったのだろうが、これほどの過熱ぶりは想定外だったようだ。総務省の見通しは甘く、対策が後手に回った感が否めない。「30%以下」の根拠が不明で「地場産品」の線引きも曖昧との指摘がある。

 泉佐野市も「勝訴」を喜んでいる場合ではない。勧告で「金銭的対価の割合の高さをことさら強調」「制度の存続が危ぶまれる状況を招いた」と批判されたことを重く受け止めるべきだ。地域性のないインターネット通販「アマゾン」のギフト券を高い還元率で贈るなどし、18年度は全国の寄付総額の1割近い約497億円の寄付を集め、新制度直前の4、5月も約185億円に上った。

 ふるさと納税の健全な発展を目指そうと、福井県や県内市町など全国の自治体有志でつくる「自治体連合」は使い道や効果の情報公開や啓発など地道な活動に取り組んでいる。泉佐野市は総務相の除外を受け退会となったが、一度は趣旨に賛同したことを忘れてはならない。制度には「他の自治体の税収を奪う制度」「高額所得者の税逃れの温床」といった批判があり、廃止を求める声もあるが、より良い制度にすべく、まずは英知を集めたい。

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