【論説】小学生が起業を体験する活動「キッズカンパニー」が14日から鯖江市で始まる。1日だけ模擬店をやって終わり、といった内容ではなく、11月まで計5日間のスケジュールが組まれ、企業経営に関する実務に本格的に取り組む。何が売れるか自分たちで考え、実際に商品や現金を扱い、利益確保を目指す。お金を稼ぐ苦労と喜び、さらに社会の仕組みを知ることができ、児童たちにとって有意義な経験になるだろう。

 キャリア教育につなげようと鯖江商工会議所と市が主催し、昨年に続いて2回目となる。日本取引所グループ(JPX)が全国で実施している起業体験プログラムの一環で、県内では鯖江市で初めて開催された。

 対象は小学5、6年生。3人一組で模擬株式会社を設立し、運営する。5日間の日程で▽事業計画を立案する▽計画を株主役(同会議所、JPX職員ら)にプレゼンテーションし出資を受ける▽資本金を元に材料の調達、商品の製作、店舗レイアウトの検討を進める▽10月のさばえものづくり博覧会に出店し、商品を販売する▽売上高や利益を計算して決算書を作り、株主総会で報告する―という一連の流れを一通りこなす。

 計画立案では、同会議所や金融機関の職員から助言を受け「何を」「いくらで」「誰に」売るかを考える。収支の見通しを立ててプレゼンに臨み、株主役の意見を聞いて修正する。机上の計画ではなく、小規模ながら実際に事業を行うわけだから、児童は真剣に取り組むことになる。昨年は最後の株主総会で「計画より売り上げが低い原因は」など厳しい質問も出たという。なかなかシビアだ。

 昨年は2組が参加し、花とオイルを瓶に詰めて飾る「ハーバリウム」の製造販売会社と、射的屋の運営会社を手掛けた。ハーバリウムは児童が自ら材料を買ってきて手作りし、10代でも買いやすい安価な商品をそろえたり、20~30代向けの限定デザインを用意したりと工夫した。射的屋も会場で客の呼び込みをするなど頑張り、結果は両社とも黒字を達成した。利益は児童や株主役で分配した。

 参加者は自分たちで努力して稼いだ現金を手にし、充実感を得ただろう。親が毎日頑張っている仕事の大変さも理解できたはずだ。

 企業には従業員の雇用と家族を含めた生活を守る責務があり、そのために利益を出して存続していくことが求められる。ただ、お金を稼ぐためなら何をしてもいいわけではなく、本業で社会に貢献し、その対価として収入を得るのが本筋だ。活動を通し、こうした社会の仕組みも学べるだろう。

 今年も2組が参加する。子どもたちからどんなアイデアが出るか、楽しみだ。

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