ガーゼに水分がにじむほど、多汗症に悩む患者の手のひら(福井赤十字病院提供)

 手のひらに大量の汗をかく「手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)」。医療機関では、薬物治療だけでなく、該当する神経を切除する、健康保険適応の外科手術も行われている。福井県内で積極的に外科的治療を行っている福井赤十字病院の医師は「悩んでいる人は、まず皮膚科医に相談してみては」と話している。

 手掌多汗症は幼少期や思春期に発症し、精神的緊張などで多量の汗をかく症状で、100~200人に1人いるといわれる。同病院の若月悠佑医師(呼吸器外科)によると、重症になるとしたたり落ちるほどの汗をかき、書類に染みができたり、握手した相手に不快感を与えないか不安になったりするほか、パソコンや携帯電話、楽器などを操作しにくいといった悩みを持つ人もいるという。

 若月医師によれば、循環器や内分泌の疾患などがない場合、塩化アルミニウムを塗り発汗を抑える薬物治療、心身療法、微弱電流を流し発汗を抑制する治療などが行われる。これらの効果が不十分とみられると、「胸腔鏡」と呼ばれる小型カメラを使った外科手術が選択肢となる。

 手術では全身麻酔をした上で胸部に小さな穴を数個開け、直径約5ミリのカメラを入れて交感神経の一部を切除する。3日程度の入院で済み、手術後は大半のケースで手のひらの大量の汗が止まるという。ただし、手のひら以外の背中、腹、太もも、尻など部位で汗が異常に増える「代償性発汗」という副作用が出る可能性が高く、十分納得して手術を受ける必要がある。

 福井赤十字病院では年間10人程度、院内外の皮膚科から紹介を受けた患者に外科手術を行っている。男女を問わず20代前後が中心で「社会人になる前に治しておきたい」という人や保育、歯科関係などに従事している手術希望者も目立つという。今年既に5人の手術を担当した若月医師は「仕事にも多汗の支障が及び、悩んでいる人は少なくない。まず皮膚科医に相談して十分納得すれば、外科的治療を考えてみてもいいのでは」と助言する。

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