磯崎新さんのプリツカー賞受賞を記念して公開される中上邸イソザキホール=9月5日、福井県勝山市元町1丁目

 「建築界のノーベル賞」といわれる今年の米プリツカー賞に輝いた建築家の磯崎新さんが設計した福井県勝山市元町1丁目の住宅「中上邸イソザキホール」が9月13~16日まで、受賞を記念して一般公開される。期間中、磯崎さんが手掛けた版画や水彩画などの作品が展示される。磯崎さんの功績をたどるとともに個人住宅にポストモダンを取り入れた建築を見学できる貴重な機会となる。

 アートフル勝山の会と勝山市観光まちづくり会社が主催する。

 同ホールは、医師で美術コレクターだった故中上光雄さんの個人宅として1983年に完成。鉄筋コンクリート2階建て、延べ床面積約183平方メートル。コンクリートの打ちっ放しで、アーチ型を押し出した形状の屋根が目を引く。曲線のデザインと窓の配置から「カエルのおうち」とも称される。

 「夫婦で集めた絵をたくさん飾れる家に」と磯崎さんに注文した住宅内部は、キッチン、寝室、書斎などに比べて、壁に絵を掛けて鑑賞し、人が集うスペースがぜいたくに取られている。美術愛好家のためのサロンとして利用してもらいたいとの中上さんの願いで「中上邸イソザキホール」と名付けられた。

 78年に発足したアートフル勝山の会は、中上邸完成時から2007年まで、中上邸を活動拠点とした。現代アートを身近に感じてもらう展覧会を定期的に企画し、作家を招いた講演会や頒布会を開いてきた。中上さんが体調を崩した08年以降は、数回展示会をしただけで、会場を別の場所に移している。

 同会会長で中上邸を管理する荒井由泰さん(71)は、磯崎さん設計で近くにある86年完成のS邸と併せて磯崎建築を守り、文化財として活用する構想を描く。「普段はオープンにしていないので、この機会にポストモダン建築の内部を見てほしい」と話している。

 一般開放は午前10時~午後7時。無料。磯崎さんが世界の著名な建築物を描いて版画にしたシリーズを展示するほか、中上邸とS邸の設計施工図も公開する。磯崎さんの著書の販売もある。

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