【越山若水】「地方都市の持っていた固有の響きが少しずつ失われ、東京文化が日本中を均一化していく―」。今から20年ほど前、世界的な現代音楽の作曲家細川俊夫さん(63)は著書で東京中心主義を厳しく批判した▼その細川さんが25年前から関わり、2001年から音楽監督も務めているのが「武生国際音楽祭」だ。フィンランド音楽祭として始まり、今年で30回目を迎えた。一地方都市で資金難などの壁を乗り越え、これだけ継続できたのは画期的だ▼それを可能にしたのは「この街の千数百年の歴史や文化、産業、それに地域の人々のこの地に寄せる思い」と同音楽祭推進会議の笠原章理事長(67)は口にする。支えるスタッフやボランティアの情熱や温かいもてなし、音楽家同士の新たな出会い。そうした感動から「武生は私の第二の故郷になりました」と細川さん▼企画内容もユニークだ。クラシックと現代音楽を同時に楽しめる。まちなかコンサートもある。「自分のなかの埋もれていた感覚や内的世界を知らされ、世界を新しく生きていくことができる芸術」(細川さん)としての現代音楽の魅力に触れることができる▼今回の音楽祭には9カ国57人のアーティストが参加し、15日まで開かれている。世界初演曲もある。東洋と西洋の文化が交わる「TAKEFU」。日本の地方文化の豊かさの象徴として世界に発信されている。

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