【論説】新聞づくりを通じ、高校生に表現力や伝える力を養ってもらう狙いで福井新聞社が取り組んだ「新聞版ハッカソン」。出来上がった紙面は、若者の個性があふれていた。新聞づくりは学校や地域で活発に行われている。その意義を改めて見詰め直したい。

 「ハッカソン」はもともと、プログラマーたちが短時間に集中してアプリやサービスを共同開発する催しを指す言葉。今回の「新聞版」は、福井新聞の創刊120周年を記念して実施した。若者同士、知恵を出し合いながら新聞紙面を作ることで成長してほしい、との期待を込めた企画だ。

 参加した高校生は福井新聞社に集まり、チームごとに作業を進めた。その様子は活気にあふれていた。普段、紙面制作に当たっている整理記者と一緒に見出しやレイアウトを考えたことは、どんな経験になっただろうか。

 「この言葉で読者に伝わるか」「原稿はこの表現でいいか」。チームで議論し合い、納得いくまで修正を重ねる姿からは、「ニュースを正確に伝える」という新聞の役割を体感していることがうかがえた。

 紙面ができるまで、約1カ月がかりだった。新聞づくりのポイントに関する座学から始まり、取材テーマを決める編集会議を開いて取材先を選定。アポ取り、資料収集、質問内容の精査など、新聞記者らのアドバイスを受けながらも、高校生がすべて自分たちでこなした。作業を見守った各高校の教諭からは、「短期間でたくましくなった」との声が聞かれた。

 取材で教えられたことも多かったのではないか。南越前町の旧今庄町をテーマにしたチームは、大学生らの若者が近く伝統的古民家の修復作業を行うとの情報を取材先で得て、再訪問。名物や観光名所の紹介にとどめずに、保存に取り組む若者の思いにスポットを当てた紙面を仕上げた。

 新聞づくりは、小学校では地域新聞や学級新聞などの形式で広く取り組まれている。また、福井新聞社と県中学校教育研究会社会科部会の「県中学生郷土新聞コンクール」は毎年、多くの中学生が参加して夏休みに行われる。これらが活発な理由は、「事実や自分の考えを分かりやすく伝える力」を養う教育効果に期待があるからだろう。地元を詳しく調べることで郷土への関心もきっと高まる。

 同郷土新聞コンクールの作品は、10月に審査が行われる。子どもたちがどんなユニークな発想で紙面を彩っているか、楽しみにしたい。

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