【越山若水】4年前の夏休み、ツイッターに投稿されたつぶやきが反響を呼んだ。「学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。一日いても誰も何も言わないよ」▼ツイートしたのは神奈川県鎌倉市図書館の女性職員。折しも内閣府の「自殺対策白書」が公表され、過去40年間で18歳以下の自殺者は9月1日が最も多いことを報道で知った。苦しんでいる子どもの緊急の避難場所として「図書館もあるよ」という思いで書き込んだ▼あらゆる批判を考慮したお役所的な発想ではなく、図書館は追い詰められた子どもの「逃げ場所」になるよ―と呼びかける踏み込んだ対応である。劇作家、鴻上尚史さんはその勇気ある行動に感心し、すぐにリツイートしたそうだ(「ドン・キホーテ走る」論創社)▼案の定、非難の声が届いた。「『死ぬほどつらい』などの言葉が自殺を誘発する」「逃げ場所ならば、フォロー体制はあるのか」「ほったらかしでは不登校を助長するだけ」…。しかし本当に悩んでいる子どもは、現状を訴えたり抗議したりできないのが現実らしい▼きょうから16日まで「自殺予防週間」である。昨年の日本の自殺者は2万人余り。9年連続減少しているが、10代だけは増加傾向にある。鴻上さんは逃げ場所が多いほど救われる可能性は高いという。そして断言する。「逃げることは恥じゃない」

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