気化冷却でハウス内の温度を下げるパット(奥)=9月6日、福井県美浜町久々子の福井県園芸研究センター

 福井県美浜町久々子の福井県園芸研究センターは9月6日、夏場の大規模ハウスにおける県特産ミディトマト「越のルビー」の栽培研究技術を公開した。県内では珍しい冷房装置の導入により、これまで収穫が難しかった真夏のハウスでも収穫が可能となる。収量増を図ることで、大規模園芸施設の増加を目指す。

 県は「新ふくいの農業基本計画」で、2017年度は嶺南地域を中心に13カ所ある50アール程度の大規模園芸施設を、23年度までに30カ所に増やす目標を掲げている。

 大規模園芸施設を増やす上で、嶺北地域は嶺南地域より冬の日射量が少なく十分な作物収穫量を見込めないことから、同センターは栽培が難しい夏でも生産できる夏越し栽培技術を研究してきた。

 研究中の冷房装置「パット&ファン」は、水が循環する高さ約1・8メートル、幅約10メートルのパットをハウスの壁面近くに設置し、水が蒸発するときに熱を奪う気化冷却を利用してハウス内に冷風を取り入れ、温度を下げる仕組み。

 同センターは昨年8月に装置を導入、今年から本格的に越のルビーとキュウリの栽培に取り組んできた。装置の有無で最大約5度の温度差があったという。

 越のルビーの場合、夏に収穫しない大規模園芸施設農家の年間収穫量は10アールあたり約12トンだが、冷房装置を導入したハウスなら1割強程度の収量増が見込めるという。

 装置の導入費は10アールあたり約300万円で電気代などもかかるが、同センターは収量増などで、長期的に見れば採算が取れると試算している。

 同センターの担当者は、全国的に夏から秋にかけてトマトが品薄になると指摘し、「技術開発をリードして、県産作物の競争力を上げていきたい」と語った。

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