【越山若水】肥前国一宮は、佐賀県みやき町にある千栗八幡宮。千栗と書いて「ちりく」と読む。毎年9月15日に小浜市の放生祭と似た放生会が営まれる▼町には「日本最古の気象台」と呼ばれる綾部八幡神社もあり、風雨を占う旗を神木から下ろす神事が24日に控える。両神社などで大名行列を思わせる「行列浮立(ふりゅう)」奉納もある。秋祭りに何とも風流な伝統をこの町は持つ▼町政のモットーは「健幸長寿」だそう。取り組むのは総合医療の充実、薬科大誘致、予防拠点づくりなど。他に子育て支援、特産育成などに重きを置き、先に挙げた伝統祭事の支援も大切にする。これら事業には一つ共通点があって、財源がふるさと納税なのである▼使い道を工夫する地方の姿だ。ただ集め方で勇み足があった。みやき町は過度な返礼品で巨額を集めたとして6月からの新制度で除外された4市町の一つ。国地方係争処理委員会は総務省に除外再検討を勧告したが、これは審査を申し出た大阪府泉佐野市だけが対象▼勧告は国の強引さをあぶりだしたけれど、同市にも「制度を危ぶませた」と指摘した。国の通知に従っていた地方に住む身としては、それもそうだよ、と言いたくなる。みやき町は今「新制度に合った魅力ある地場産品を開発したい」とのスタンスを取る。伝統祭事などの“宝”が豊富な町なのだから、ぜひ知恵を絞ってもらいたい。

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