9月に入っても好漁が続く福井県越前町のスルメイカ=9月2日、同町の越前漁港

 初夏の味覚スルメイカが、今年はなぜか9月になっても、福井県越前町の釣り漁でよく取れている。例年スルメイカ漁は7月上旬にはほぼ終わっており、専門家が「今年急に起こった現象で、裏付けるデータがない」と驚くほどだ。

 日本海近海で底引き網漁が解禁となり、越前町で初競りが行われた9月2日朝。例年なら午前9時から競りが始まるが、今年は約1時間遅れた。その前のスルメイカの入札が終わらなかったためだ。「9月にスルメイカがあるなんて」。集まった水産関係者は一様に驚きの表情だった。

 町漁協によると、今年8月末までのスルメイカの漁獲量は約45万キログラム。漁期が長くなっていることもあり、前年の13万6千キログラムの3倍超に達している。2日に入札されたスルメイカは約8300キログラムと「9月とは思えない量」(町漁協)だった。

 越前町のイカ釣り漁はここ10年ほど、燃料の原油高のため、約30キロメートル沖の近海が漁場の中心となっていた。しかし今年は県外船が福井の近海にも来ていたことから、燃料が高騰する前に漁場だった約50~60キロメートル沖まで出た。これが「思わぬ好漁につながった」と町漁協の小林利幸組合長は分析する。

 ただ、その漁場で、なぜ9月になっても取れるのかは不明だ。日本海区水産研究所(新潟県)は「産卵の時期がずれたからだろうが、裏付けるデータがない」。同研究所によると、今年のスルメイカ漁は「特異な年」で、これまで国内の中心だった北海道が不漁となり、福井をはじめ日本海中部沖に漁場が移ったという。

 他県の不漁を受け、越前町のスルメイカは高値で推移。一般に夏以降のスルメイカは身が薄くなる傾向があるが、小林組合長は「今も質が良く、コリコリしておいしい」と太鼓判を押した。

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