2カ月ほど前に尻もちをついてから背中が痛くなり、近くの病院で「背骨が圧迫骨折を起こしている」と診断されました。そのまま入院し、3週間ほどで退院できたのですが、家族からは背中が曲がってきていると言われ、ちょっと動くだけでも痛いのです。医師からは「骨がくっついていない」と指摘されました。痛み止めの薬を飲んで我慢していますが今後、どうしたらいいのでしょうか。(福井県福井市、78歳女性)

 【お答えします】井上啓・福井県済生会病院整形外科医長

■脊椎圧迫骨折の後「偽関節」になった可能性

 質問の症状は「脊椎圧迫骨折」を生じた後、「偽関節」の状態になっているためと思われます。普通の圧迫骨折では、コルセットを装着して背骨を安定させると、4週間ほどで痛みが和らいで、3~6カ月ほどで骨折した部分がくっつきます。しかし、安静を保てなかった場合、骨折した部分がくっつかずに関節のように動くため、いつまでも痛みが続き、この状態を偽関節と呼んでいます。

 偽関節となった場合、背骨の中を通る神経が圧迫される危険性が出てきます。この神経が圧迫されると、両下肢(足)の痛みやしびれ、動かしにくさや尿が出せない状態になってしまうことがあります。

 圧迫骨折の診断には通常、背骨のエックス線撮影検査を用いますが、MRIやCTスキャンを追加することもあります。これらの検査はエックス線撮影ではわからない骨折があるかどうかを判断したり、時間がたった骨折が偽関節になっていないかを判断したりするのに役立ちます。

■痛みが続けば手術も考慮

 偽関節となってしまっても、まずはコルセットを装着して経過を見ることが一般的です。

 日常生活ができないほどの痛みが長期にわたって続く場合は、手術を考慮することがあります。最近では、骨折してつぶれた骨の中にしぼんだ風船を挿入し、風船を膨らませて作った隙間に骨セメントと呼ばれる充填(じゅうてん)剤を入れる手術が行われるようになってきています。この手術により、痛みが楽になり、骨が固まる効果が期待できます。また、背骨のぐらつきが強い場合は、背骨を金属の棒で固定しなければならない時もあります。

 両足を動かしにくくなった場合は、神経の圧迫を取り除いた上で、先ほど述べた背骨を金属で固定する手術が必要になる可能性があります。いったん足が動かなくなると、手術をしても改善が難しいことがあり、動かなくなる前に手術を受けることが望ましいです。

 従って、圧迫骨折後に背中の痛みが続く際は、偽関節になっていないかどうか、手術が必要な状態ではないか、かかりつけ医に相談してみてはいかがでしょうか。

関連記事