【越山若水】小さな女の子が深夜1人で外出を繰り返し、ドラッグストアでお菓子をじっと見ていたこともあった。警察にも4度保護された。数カ月前に起きていた、ただごとと思えない事態である▼鹿児島県出水市の大塚璃愛来ちゃんが死亡した事件は、母親の交際相手が暴行容疑で逮捕されている。虐待との関連については捜査が進むのを待ちたい。ただ分からないのが、県中央児童相談所が一時保護をいったん決めたとしながら、実施が見送られていた経緯だ▼璃愛来ちゃんが外に出たのは自宅で夜1人きりの時という。海外で子どもの留守番を規制する例は珍しくなく、ニュージーランドの場合、14歳未満だと違法になる。日本は比較的寛容といえど、璃愛来ちゃんはわずか4歳。児相はなぜ、これを重大に捉えなかったか▼受け皿は決して十分でない。国内の夜間保育所は昨年4月で81カ所のみ。延長制度はあるが原則は午後10時までだ。深夜に働いていた20代の母親はどこかに頼るすべを知らなかったとも思える。「自治体との連携が十分でなかった」。児相の言い訳が何ともむなしい▼子どもが虐待で亡くなる事件は繰り返されてきた。その反省に立って改めたはずの行政の対応が徹底されず、事件のたびに不手際が明らかになることも同様に続いている。犠牲になった多くの幼い命のためにも悲劇を食い止めなければならない。

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