【越山若水】「絵島が磯」と聞いてすぐに浦島太郎が思い浮かぶ人は、かなりの昔話の通だろう。亀を助けた例の浜の名前である。各地に似た話が残るが、一般には若狭のお隣、丹後が舞台とされる▼はやぶさ2が探査中の小惑星「りゅうぐう」にある「エジマ岩塊」は、この浜から名付けられた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のチームが考え、国際機関が認めた。オトヒメ、ウラシマ、キンタロウ、リュウジンなども岩やクレーター、尾根の名になっている▼ネーミングのテーマは「子ども向けの物語」だそうな。4月につくられた世界初の人工クレーターは、縁の所に転がり落ちそうな三角岩があるから「おむすびころりん」に決まった。チームの科学者・技術者は宇宙が大好きで、子どもたちに魅力を知ってほしいのだと想像できる。何だかうれしくなる話である▼そんな気分に水を差すのが米宇宙軍の発足だ。日本の防衛省も息を合わせるように宇宙作戦隊の新設を狙う。中国・ロシアをにらみ、軍事利用を「やらなければやられる」との発想。人類は戦う領域をどこまで広げるのか▼「宇宙は目的をもって創られた、全体が神のようなものに感じられる」。宇宙飛行士・土井隆雄さんの言葉として宗教学者の山折哲雄さんが紹介している。目的とは、軍事利用のはずがない。平和・共同利用の舞台として子どもたちに伝えたい。

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