40代の娘のことで相談します。昨年秋、鼻血が止まらず、病院で診てもらったところ、「ビタミンK凝固因子欠乏症」と診断されました。入院して検査しましたが原因は分からず、現在は定期的にビタミン注射をしています。足に皮下出血があり、腫れて痛みもあります。このまま治らないのか、不安です。(福井県嶺北地方、女性)

 【お答えします】安富久記・福井赤十字病院内科副部長 

■漏れた血液たまり皮下出血に、吸収され徐々に改善へ

 血液にはもともと固まる能力が備わっています。血液が血管外に漏れると、この能力が発揮され、血管に開いた穴をふさぐことで血液が漏れ続けるのを止めます。ビタミンKは、この固まる能力の働きにとって重要な因子です。ビタミンKが不足すると出血が止まりにくくなり、血液がどんどん漏れることになります。

 相談者の場合、皮下出血があるそうですが、皮膚の下からは出口がないので、漏れた血液がその場にたまって違和感や痛みを生じます。漏れ出た血液は取り除くことができませんが、次第に吸収されて消えていきます。数週間の時間がかかることが多いのですが、だんだん治っていきますので心配は無用です。

■詳しい原因究明と食生活改善で予防を

 さてビタミンと名の付く栄養素は多くあり、いずれも人間の生命活動に必要な物質ですが、人体にはつくることができず食物から補われます。昔は食生活が偏っていたためにビタミン欠乏性疾患が多かったのですが、多様な食材を入手することができるようになった現代の日本では少なくなりました。バランスの取れた食生活によって、ほとんどのビタミン欠乏症を予防できるからです。

 ビタミンKは、油に溶けやすい性質をもつ物質で、納豆・小松菜などの食品に多く含まれます。また腸内細菌がビタミンKを作ってくれます。生後1カ月程度の赤ちゃんにビタミンK欠乏が生じることがありますが、腸内細菌が十分育っていないのが原因です。

 成人でビタミンKが欠乏するのは、摂取の不足が長く続いたり、抗生物質などで腸内細菌が大きく減っていたり、腸の脂質吸収に問題があったりする場合でしょう。

 次のような提案をします。バランスの取れた食事をとること、抗生物質の投与があれば担当医に相談すること、脂肪吸収に関して腸・肝臓・胆汁排泄に問題がないかを病院で調べてもらうことです。ビタミンK製剤の注射による補充療法は非常に有効ですが、食べ物などで補うことができれば中止できるでしょう。

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