コミュニティーバス「すまいる」の運賃は110円への値上げが申請されたが、結局100円に据え置かれることになった=福井県福井市中央1丁目

 福井県福井市街地を走るコミュニティーバス「すまいる」の運賃が、今年10月の消費税増税後も100円に維持される。市は110円への値上げを国に申請していたが、市議会の反対を受け方針転換した。利用者は「100円バスのイメージなので、据え置かれてよかった」と歓迎する。一方で、すまいるの乗客は減り続けており、公共交通全体の中でどう生かしていくかが課題となっている。

 すまいるは、第三セクターのまちづくり福井が市の補助金を受けて運営し、四つのルートの運行は京福バスに委託している。運賃は100円のワンコインとし、14年4月に消費税が5%から8%に引き上げられてからも100円を維持してきた。

 今年10月に消費税が10%に引き上げられることを受け、市とまちづくり福井、京福バスは「運賃に適切に転嫁する」ため110円への値上げを5月下旬に決め、国土交通省中部運輸局に値上げを申請。6月下旬に市の地域生活交通活性化会議に値上げを報告していた。

 これに対し、7月1日の市議会一般質問で片矢修一議員(市民クラブ)が「1コイン100円であることに利用価値があり、110円の2コインになると利便性が大きく低下し利用者が減ることは明確。100円を維持すべき」と指摘。理事者側が、値上げにより利用者が18年度に比べ5千人減るとの見通しを示したことを受け「利用者が少なくなるような施策はやめてほしい。乗客を増やす方向で全庁的な議論を」と求めた。

 市は市議会の意見を踏まえて運賃の据え置きを検討。9日の市議会建設常任委員会で、堀江廣海議員(一真会)の要求に応える形で「(値上げの)申請を取り下げる方向で協議していく」と方針転換を表明し、その日のうちに運賃据え置きを中部運輸局に伝えた。

 すまいるの利用者は07年度の約54万9千人をピークに減少しており、18年度は約42万4千人、市からまちづくり福井への補助金は約1060万円に上った。市は18年度、沿線住民向けのアンケートを行い、今年4月にルートやダイヤ、バス停を見直したが、利用者からは「バス停が減って不便になった」「運行本数を増やしてほしい」との声も聞かれる。

 市議会の議論では、公共交通政策が都市戦略部の所管なのに、すまいるだけ商工労働部の所管となっていることが疑問視され、理事者側も将来的な都市戦略部への移管を表明した。橋本亜由美商工振興課長は「すまいるはお買い物バスの位置付けだが、高齢者や交通弱者の足にもなっており、公共交通の中のすまいるの在り方を考えていかなければならない」と話している。

関連記事