【論説】東京への人口の一極集中が続く中、首都圏の大企業で管理職、専門職を経験したプロフェッショナル人材を地方企業が採用する動きが広がっている。福井県も役職定年を迎えた県出身者をターゲットに、県内企業とのマッチングを進める。今年に入り、大企業と県内企業がプロ人材について情報交換する会合を開くなど取り組みを加速させている。企業の成長、地域経済の活性化につながる人材の発掘を期待したい。

 中小の製造業が多い県内では、研究開発のマネジメント、工場の生産管理などを担う人材が不足している。地方企業の「攻めの経営」を後押しする内閣府のプロフェッショナル人材事業を受け、県は2015年に「ふくいプロフェッショナル人材総合戦略拠点」を設立。U・Iターンを希望するプロ人材の掘り起こしに取り組み、今年7月までに56人の転職につなげた。

 プロ人材のUターン増を狙い県は1月、都市部の大企業と県内企業をマッチングする初の情報交換会を福井市内で開いた。首都圏5社と県内15社が意見を交わし、プロ人材の出向、転籍に双方メリットがあることを確認した。ただ、具体的な成果までは得られなかった。

 両親の介護などを理由に将来的なUターン希望はあるものの、家族の意向などで今すぐ決断するのは難しいようだ。出向から転籍、移住へと段階的に進める仕組みが必要になっている。

 県は5月、首都圏のU・Iターン希望者に情報提供する人材開拓員を東京事務所に配置した。総合戦略拠点と連携する人材開拓員は、プロ人材の発掘に向けた体制強化にもつながるはずだ。

 28日には2回目となる人材情報交換会を都内で開く。前回の課題を踏まえ、まずは首都圏に支社や事業所を持つ県内企業への出向を提案する。県担当者は「首都圏の事業所に1、2年出向し、県内企業とプロ人材の双方が望んだ場合に転籍してもらう。将来的には県内の移住につなげたい」と意気込む。

 眼鏡枠のレーザー加工やアウトドア関連の繊維素材、土木資材…。県内にはニッチな分野で、ナンバーワンのシェアやオンリーワンの技術を持つ企業が多い。活躍の場を求めるプロ人材にとって、魅力的に映るのではないか。ただ、ライフスタイルが大きく変わる地方移住を後押しするには、プロ人材の立場に立ったきめ細かい対応が欠かせない。職場と地域の魅力を伝えるため、県と企業の一層の連携が必要になる。

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