エビデンスに基づく教育実践を一冊にまとめた江澤隆輔教諭

 働き方改革が求められている教育現場において、学習や生活指導、教師の業務改革に役立ててもらおうと、福井県坂井市春江東小学校の澤隆輔教諭(34)が「学校の時間対効果を見直す! エビデンスで効果が上がる16の教育事例」(学事出版)を著した。エビデンスは「科学的根拠」の意で、教師の仕事の効果を確かめる強力な“武器”になるとしており、同教諭は「学校の取り組みを見直す一助に」と話している。

 欧米で広がるエビデンスに基づく教育の国内第一人者として知られる、岐阜県養老町立養北小学校の森俊郎教諭との共著。「この実践は、本当に子どものためになっているのか」との疑問を抱く志ある教師に向け、限られた時間の中で、より高い教育効果を上げるエビデンス教育の初級編としてノウハウを記した。

 宿題やICTツール、席替え、部活動、指導案、掲示物、学級通信など16の事例を取り上げた。エビデンスの有無を調べて質を見極め、労力や金銭的コストを踏まえ、総合的に取り組みを見直す方法として、(1)問題の整理(2)エビデンスを探す(3)エビデンスの見極め(4)見直しと意思決定(5)振り返り―のステップを提案し、時間をかけるだけの効果があるか検証する構成。

 江澤教諭は「時間対効果」の視点から、各事例について教師の心の葛藤や疑問をユーモアに対話形式で示す部分を主に担当した。

 著書では、授業参観での協同学習を一例に挙げた。「グループか、個別で調べ学習をさせるのとでは、どちらがやる気を高めるか」と問題を整理し、協同学習の「すべての学年で有効」「学力や学習意欲を高める効果あり」とのエビデンスを示し、「グループの目的を適切に設定したり、個人に役割や責任を持たせたりすることで高い効果を発揮する」と解説した。

 江澤教諭は「教師は多忙で、見直すべき仕事は多い」とし「エビデンスは何を削減し、何を残すかの基準になる。実践の調味料として加えることで新たな視点の指導ができ、業務削減にもつながっていく」と話している。159ページ。1600円(税抜き)。

 同教諭は、教師の時短術や働き方改革に関する新しい考えを発信しており、著書は4冊目となる。

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