サンドーム福井のライブ客に観光ガイドなどをする「鯖江おせっ会」の上嶋睦美さん(右)=福井県のJR鯖江駅

 福井県鯖江市のボランティア団体がアーティストのライブでサンドーム福井を訪れる県内外の客をもてなす活動に取り組み、来場者の間で称賛が広がっている。会員制交流サイト(SNS)には「優しさに触れて最高」などと感謝の言葉が並ぶ。ライブの際の出会いをきっかけに、団体の会員との新たな交流も生まれている。鯖江ファンの増加に一役買っている活動に、海外メディアも注目する。

 団体は2017年2月に発足した「鯖江おせっ会」。多くの有名アーティストが近年、サンドームでライブを行う中、来場者へのおもてなしでまちの魅力度を向上させようと、同市の上嶋睦美さん(58)が中心となって結成した。

 現在は15人が交代で、JR鯖江駅周辺での活動に参加する。そろいの黄色いポロシャツ姿で猛暑の日も雪の日も、サンドームでライブがある日は必ず集まる。

 例えば開演が午後6時の場合、会員の集合時間は8時間も前の午前10時。グッズ目当てに早めに会場入りしたり、近くを観光したりするファンも多いからだ。混雑する鯖江駅で、主に道案内や記念写真の撮影を担う。宿探し、スーツケース修繕、ほつれたボタンの取り付けまで請け負う。「困っている人がいれば何でもする」がモットーだ。

 夕方いったん解散し、ライブが終わる約1時間前に再集合。夜遅くにサンドームから鯖江駅に向かう人が迷わないよう、道中に発光ダイオード(LED)ライトを250個設置する。駅では一気に押し寄せるライブ客に対し、トイレや飲食店などを案内。最後にライトを回収し、ようやく一日が終わる。会員の平均年齢60歳超とは思えない活動力だ。

 手厚いサービスぶりが感動を生み、来場者のツイッターなどSNSには「鯖江市民優しすぎる」「鯖江おせっ会の優しさに触れ泣いたり笑ったり、最高の時間でした」といった感謝の書き込みが相次いでいる。

 ライブのときの触れ合いを縁に、会員と交流を続ける人もいる。「観光で鯖江に来ました」と、地元のお土産を持って上嶋さんらを訪ねてくることもあり、うれしい再会となっている。団体の評判を聞きつけた韓国のテレビ局からは先頃、取材を受けた。

 市もハード面で後押し。鯖江駅からサンドームまでを眼鏡マークであふれさせる「メガネストリート」として整備しており、今夏には歩道街灯整備を予算化、年内に設置する予定だ。

 8月10日は人気バンド「back number(バックナンバー)」のライブがあった。「楽しんできて」「ライブTシャツ似合ってるね」。フランクな接し方も人気の一つだ。この日は酷暑だったが、上嶋さんは「大変だと思ったことはない。ただ鯖江を好きになってくれたらうれしい」と笑顔で話した。

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