開発する電池推進船のイメージ(美浜町提供)

 再生可能エネルギーを活用して三方五湖の観光遊覧船の運航再開を目指している福井県美浜町は8月21日、東京海洋大と遊覧船開発に向けた共同研究契約を締結した。同大の先進技術を活用し、太陽光で動く電池推進船の開発を目指す。町は2023年春の北陸新幹線敦賀開業に向けて船を完成させ、観光の目玉としたい考えだ。

 同町の遊覧船は16年12月、町内事業者らでつくる運営会社が経営不振などを理由に休止。町は北陸新幹線の敦賀開業に向けた観光の目玉として運航再開を目指し、太陽光発電による船導入に向け可能性調査を進めてきた。

 同大は10年、電気自動車(EV)に使われるリチウムイオンバッテリーを搭載した急速充電が可能な電池推進船を開発。それ以降、航続距離の延長や大型化に向けた研究を継続しており、電池推進船研究の国内トップを走っている。今回は同大の航行システムを同町の観光遊覧船に活用し、共同研究を進めていく。

 電池推進船は、発着場として改築予定の「新美浜町レークセンター(仮称)」の屋根などに太陽光パネルを設置し、発電した電力を船内の電池に送電し航行用電気として使用する。同大によると、これまでに開発されている電池推進船は一般電源を動力とする場合がほとんどで、太陽光で発電した電気だけで動く観光遊覧船の導入は国内初という。

 9月に三方五湖や浦見川の水深などについて共同調査を開始。久々子湖と水月湖を結ぶ浦見川は水深が約2メートルと浅いため、船体の構造を工夫する必要があるという。本年度中に運航距離や速度パターンなど設計に必要なデータを得るほか、太陽光パネルから船内に送電するシステムを開発していく。

 この日は、戸嶋秀樹町長と同大の大出剛特任教授が、同町役場で共同研究契約を締結した。戸嶋町長は「重要な観光資源である三方五湖に、先進的な技術を生かした遊覧船が導入されることで、さらに魅力を高められる。再生エネを活用したまちづくりの一つとしても実現したい」と述べた。

 大出特任教授は「電池推進船の導入により、従来よりも臭いや震動、騒音を抑えることができる。風光明媚な三方五湖の観光に最適」と意気込みを語った。

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