【越山若水】葛飾北斎が描いた風景画には、透明感のある青の色が多く使われている。「プルシアンブルー」という人工顔料だ。ドイツ(当時プロイセン)のベルリンで開発され「ベロ藍」とも呼ばれる▼浮世絵版画を代表する「富嶽三十六景」でも使われ、「北斎ブルー」として人気を呼んだ。福井市の県立こども歴史文化館で開催中の特別展「色とりどり」(9月1日まで)では北斎晩年の「諸国名橋奇覧 ゑちぜんふくゐの橋」を展示している。足羽川に架かる半木半石の九十九橋を描き、ベロ藍のさわやかさが印象的だ▼ベロ藍以前の青はツユクサや藍が用いられていたが、ベロ藍の方が退色しにくく発色も美しかった。江戸時代末期には浮世絵の青の主流となり、海外に輸出されると、印象派の画家に影響を与えた▼現代は、日本発のもう一つ重要な「青」がある。北朝鮮による拉致被害者の救出を訴えるブルーリボン運動の青だ。被害者の祖国日本と北朝鮮を隔てる「日本海の青」、被害者と家族を結ぶ「青い空」をイメージしている▼支援者らは胸にブルーのバッジなどを着け活動している。その一人、「救う会福井」の池田欣一さんが、96歳で亡くなった。18年間会長を務め、集会や署名活動に全力を傾けた。高齢のため背中を丸め、切々と救出を訴える姿が忘れられない。生きているうちにバッジを外す日が来てほしかった。

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