(C)2019「火口のふたり」製作委員会

 原作は直木賞作家の白石一文による同名小説。性に溺れる男女の姿を、映画『Wの悲劇』『共喰い』などで知られる名脚本家の荒井晴彦が脚色、監督しています。主役の2人を文字通りの体当たりで演じているのは柄本佑と瀧内公美。最初から最後まで、最近の邦画には珍しいほど濡れ場を真っ正面から描いた作品です。

 東日本大震災から7年目、離婚し、職も何もない男・賢治が、幼馴染の女性・直子の結婚式に出席するために帰省し、再会したことをきっかけに過去の肉体関係が復活、愛欲に溺れていくというお話です。映画の良し悪しと、登場人物に共感できるかどうかは全く別物だと思うのであえて言いますが、正直ふたりの関係にはもう全然共感できませんでした。そもそも昔の男とまた復活なんてあり得るのか!? しかも結婚式前にって、ヒロインの気持ちが全く分からず苦笑い。でも、きっと世の中にはこんな風に過去の関係に引きずられるようにまた溺れてしまったりしちゃう人がいるのかもしれないなあと。閉塞感の中で、そういう行為にふけってしまうふたりの描写は全然分からないながらも妙にリアル。観る人によっては、思いっきり共感できるかもしれません。

 最近は、テレビがコンプライアンスにがんじがらめにされていて、濡れ場がすっかりタブーになってしまっていますが、こんな風に思い切った性描写に果敢に挑める荒井晴彦監督はかっこいい! 現代に復活した、ロマンポルノ的作品をぜひ楽しんでもらいたいです。★★★★☆(森田真帆)

監督・脚本:荒井晴彦

出演:柄本佑、瀧内公美

8月23日(金)から全国順次公開

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