【越山若水】缶詰の誕生は戦争と深い関わりがある。フランスの英雄ナポレオンは戦死者の約8割が戦闘ではなく、食の不備による病死だと知って、食料保存技術の開発に巨額の懸賞金を用意した▼1806年、フランス人が考案したのは瓶詰だった。空気を遮断し煮沸することで食品の腐敗を防止する。同国の海軍に試験的に採用されたが、何しろガラス瓶は重くて割れやすい。5年後に英国人が金属容器に密閉する技術を発明し、ようやく缶詰の誕生に至った▼6カ月の長期保存が可能で、しかも携行に便利な缶詰は戦場食にピッタリ。英国の陸海軍に大量の肉の缶詰が納入され北極探検にも携帯された。58年に米国人が缶蓋(ふた)の中央に穴を開ける缶切りを発明すると、南北戦争でその本領を発揮し、次第に一般家庭へ普及した▼そんな缶詰の歴史の一端に、わが福井県のサバ缶が名を連ねるかもしれない。若狭高の生徒が長年かけて開発した「サバ醤油(しょうゆ)味付け缶詰」である。昨年11月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙日本食に認証され、日本人宇宙飛行士からもお墨付きを得ている▼“宇宙への旅立ち”の実現を待つばかりだが、JAXAの野口聡一さんと星出彰彦さんが2020東京五輪の期間中、国際宇宙ステーションで同時滞在する可能性があるという。高校生のサバ缶が2人のミッションを支援する存在になればと思う。

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