【越山若水】探査機「はやぶさ2」が先月、2回目の小惑星着地に挑んだときに、計画を中止すべきだとの議論があった。もしも失敗して帰還できなくなれば、それまでの成果が無駄になるからだ▼JAXA(宇宙航空研究開発機構)は膨大な回数のシミュレーションを重ねた。技術に「絶対」はないが、はじき出された成功率は科学者として「できます」と言える数字だったと聞く。議論は「ゴーサイン」で決着した▼拙稿を書いている段階で台風10号の被害全容を知り得ないが、JR西日本がきのう、新幹線の計画運休に踏み切った。決定前から周知し、前日の午前中に正式公表。予定のあった人に対応を考える時間が生まれただろうか▼JR東日本は運休決定を早めることに慎重らしい。首都圏の通勤輸送を担うから、その考えも分からなくはない。ただ、気象予報は外れるケースがゼロでないとはいえ精度が上がっている。目的はあくまで乗客の安全確保。運休をしっかり検証し、今後に生かしたい▼リスクを減らすために科学は進歩し、知見を増やす。そのサイクルから取り残された印象なのが東京五輪の猛暑対策だ。今夏は暑さ指数が「危険」区分となる日が続出、テスト大会で脱水症状を起こす選手が相次ぎ、競歩の有力選手はコース変更を訴えた。それでも抜本対策は見当たらない。五輪の成否そのものにかかわる課題である。

関連記事