えちぜん鉄道のアテンダントとして奮闘しているJETS出身の猪部光留さん

 福井商業高校チアリーダー部「JETS」の一員として全米選手権制覇に貢献した猪部光留(いのべ・ひかる)さん(23)が、えちぜん鉄道のアテンダント(客室乗務員)として奮闘している。東京の大学を今春卒業し、Uターン就職した。都会で働く選択肢もあったが、「JETSでたくさんの思い出をつくれたのは、通学の足だったえち鉄のおかげ。恩返しがしたい」。持ち前の笑顔と元気で張り切って乗客と接している。

 猪部さんは、福井商業高入学後すぐにあこがれのJETSに入った。1年生の時に先輩たちが全米選手権を制覇し、2、3年生の時は主要メンバーとして連覇に貢献した。

 いつも朝早く、えち鉄で通学した。三国港駅で乗車し、福大前西福井駅で降りて歩いた。「雨の日も風の日も雪の日も安全に運んでくれた。えち鉄がなかったら、坂井市内やあわら市内の高校を選んでいたかもしれない。そうしたら、JETSのみんなと会えなかった。えち鉄あってこそ今の私があると思います」

 感謝の気持ちとともに思い出すのは、アテンダントとの交流だ。「『福井までお願いします』と言うと、優しい笑顔で乗車券を売ってくださいました。姿を見るといつも安心しましたし、かっこいい仕事だなと思っていました」

 東京の大学に進学し、満員電車に揺られた。「ストレスでいっぱい。ゆっくりと景色や会話が楽しめるわけでもなく、目的地に向かうだけの移動手段という感じでした」。確かに自動改札は便利だった。でも、有人改札で温かみが感じられ、車内で困った時にはアテンダントがさりげなくサポートしてくれるえち鉄が恋しくなった。

 東京での就職を一時考えたものの「都会の水は合わないかな」。次第に「ゆったりとした時間の流れる古里に帰ろう。そして、高校時代にお世話になったえち鉄に就職したい」との思いが強くなっていった。鉄道好きのゼミの先生も後押しし、推薦文を書いてくれた。昨年5月、えち鉄から内定を得た。

 今春に入社し、営業開発部に配属された。5月の大型連休明けからアテンダントの仕事を先輩に教えてもらい、6月下旬に独り立ちした。はきはきとした声でアナウンスし、顔なじみになった乗客と「いつもありがとうございます」「きょうも暑いですね」と世間話に花を咲かせる。

 豊北景一社長が「JETSの厳しい練習を乗り越えてきただけあって精神力がすごい。とても礼儀正しく、笑顔でみんなを明るくしてくれる」と評価するように、ムードメーカー的な存在になっている。

 アテンダントは現場の最前線で困りごとに対応するだけでなく、新たなサービスの種となる乗客のニーズをつかむのも大事な仕事だ。猪部さんは「アテンダントとして日々学んでいることを、営業職になった時に生かしていきたい」と意欲を燃やしている。

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