キジル石窟の壁画を解説する井上隆史特任教授(手を上げている男性)=8月11日、福井県福井市の県立美術館

 東京藝術大学スーパークローン文化財展(福井県立美術館、福井新聞社、福井放送でつくる実行委員会主催)のギャラリートークが8月11日、福井県福井市の県立美術館で開かれた。最先端の技術と人間の手業、感性でよみがえらせた世界遺産級の文化財を、東京芸大の研究者が解説し「宗教の共存共栄など過去から学ぶべきことを、失われた文化財が示している」と意義を説いた。

 シルクロードの文化遺産を研究する井上隆史特任教授(67)は、2001年にテロで爆破されたアフガニスタン・バーミヤン東大仏の頭上を彩っていた天上壁画を解説した。ゾロアスター教の神やギリシャ神話の女神が描かれており「後から入ってきた仏教の仏像を守るように描かれ、共存共栄のメッセージが込められている」と説明した。

 中国・新疆ウイグル自治区のキジル石窟の壁画は、ドイツの探検隊がはぎ取って持ち帰り、第2次世界大戦の戦火で失われた。高い印刷技術による細かい点描の図版が残っていたから、よみがえらせることができたとし「職人技を大切にしなければならない」と力説した。

 展示を監修した並木秀俊特任准教授(40)=文化財保存学=は「見て、触れて、においも含め五感で間近に展示を楽しんでほしい」と話した。

 ギャラリートークは18日もある。17、18、24、25日は午前10時までに来館した先着100人に記念品が贈られる。

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