海女の後継者不足に危機感を抱き、ウニ漁に挑戦している出嶋波音さん=福井県坂井市三国町梶

 早朝から海に潜り、海底の重い石をめくり、石に張り付いたウニを採っていくウニ漁。福井県坂井市三国町で最盛期を迎える中、海女の後継者不足に危機感を抱いた男子中学生が、今年から夏休みを利用して漁に挑戦している。「伝統の海女文化を学び、たくさんの人に発信していきたい」と意気込む。

 男子中学生は同市の2年生の出嶋波音(はおと)さん(13)。元漁師で鮮魚店を営む祖父の幹雄さん(78)から海女の後継者不足や高齢化について話を聞き、「力になりたい」と雄島漁協に入漁を打診した。

 同漁協によると、素潜り漁に従事する海女は30年ほど前は220人ほどいたが、現在は4分の1にまで減り、60代は若手といわれるほど高齢化が進んでいる。2017年3月には雄島の海女の素潜り漁が漁獲物の加工技術までを含め、県無形民俗文化財に指定され、海女文化の継承が急がれている。しかし担い手は減る一方で漁の技術が受け継がれていないこともあり、ウニやサザエの漁獲量は減少をたどっている。

 波音さんの住む梶区は、昔から男性も海女とともにウニ漁を行う風習がある。7月下旬には“ベテラン”の幹雄さんの指導を受け、初めての漁に臨み、腰にくくりつけたひもの先のかごにバフンウニやムラサキウニなどを次々と入れていった。

 ウニは1カ所に集まっているわけではないため、場所を変えながら石をめくって採る。中学では卓球部に所属、海で泳ぐことも多く体力には自信があるという波音さんだが、約3時間の漁を終えると「達成感もあるが、思った以上に疲れた。海女さんの大変さが分かった」と話す。

 幹雄さんは「自分たちが子どもの頃、当たり前だった海女の存在が薄れつつあるのが寂しい。波音の存在が起爆剤となり、海女をやりたいという若者が出てきてくれたら」と期待を寄せる。波音さんも「今はまだ採れる量も少ないが、素潜りは楽しい。海女さんとも交流し、話を聞いたり技術を教えてもらったりして、みんなに海女さんの素晴らしさを伝えたい」と意欲を見せている。

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