8月6日、最後に巣立ちし畑に降りた雄のヒナ=福井県坂井市

 今年5月に福井県坂井市で誕生した国の特別天然記念物コウノトリのひなについて、福井県は8月6日、4羽全ての巣立ちを確認したと発表した。4羽は巣周辺の畑や田んぼで餌をついばんでおり、元気な姿を見せている。

 親鳥は兵庫県豊岡市生まれの5歳の雄と6歳の雌。坂井市内の集落の電柱上に営巣し産卵、今年5月下旬から順に雄2羽、雌2羽がふ化した。

 兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)は、巣から飛び立ち、巣以外の場所に着地した時点で「巣立ち」としている。福井県は7月26日、雌1羽が巣近くの休耕田に降り立つ様子を確認し、1羽目の巣立ちを発表。翌27日と8月2日にも、別の2羽が農道や水田にいるところが見つかった。同6日午前9時ごろには、降り立った姿が目撃されず巣にいつも残っていた雄1羽が畑で羽に降り立った様子を福井県越前市の野鳥愛好家が写真に収め、全ての巣立ちが確認された。

 自然界で暮らすコウノトリの福井県内での巣立ちは、1961年に小浜市内で2羽が確認されて以来となる。県は2011年から郷公園と連携した飼育繁殖事業に取り組み、15年秋に別のペアの卵を温めてかえす「托卵(たくらん)」で育った2羽を越前市白山地区で放鳥。昨秋までに計9羽を自然界へ送り、少しずつ段階を踏んで野外個体の繁殖、巣立ちの日を迎えた。

 佐々木真二郎・福井県自然環境課長は「地元に野外繁殖を受け入れていただき大変な苦労を掛けたと思うが、丁寧に温かく見守ってもらい感謝している。無事に4羽の巣立ちまで持っていくことができ安心した。野外のコウノトリが増えることで、環境再生の動きが加速していけば」と願った。

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