陸上女子走り高跳びで1メートル76をクリアし、笑顔で観客席にガッツポーズする蓑輪夢未=8月4日、沖縄県沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 【全国高校総合体育大会(インターハイ)陸上女子走り高跳び】自己最高記録のバーを跳び越えマットに着地した瞬間、蓑輪夢未(福井・北陸)は観客席を振り返り、弾けるような笑顔で両手を空に突き上げた。視線の先には吉田良一監督の姿があった。中学時代の活躍に比べ、足の故障などで伸び悩んだ高校での競技生活。やめようと思ったこともあったが、師弟二人三脚で乗り越えた。「ずっと支えてくれてありがとう」。師と教え子はうれし涙で有終の夏を飾った。

 全国中学校体育大会(全中)2連覇を果たしての高校入学。周囲からの期待は想像以上だった。しかし結果が出ず1年生の全国高校総体は6位。その年の冬からは足の痛みに苦しみ、2年時には北信越大会で敗退。「陸上をやめたい」という思いがこみ上げることもあった。吉田監督はそんな蓑輪を治療院に連れて行ったり、大学生の練習を見学させたり「ずっと向き合ってくれた」(蓑輪)。

 今年こそはと意気込み臨んだ今大会。「いつもよりすごく調子が良かった」(蓑輪)。予選は1メートル61センチ、64センチ、67センチを失敗なく成功させた。決勝でも勢いは止まらず1メートル64センチ、67センチ、70センチも軽々と跳び越え、今年は練習で成功していなかった1メートル73センチも「バーがいつもより低く感じて、これは跳べるなと思った」。最後は自身が高校1年で打ち立てた福井県記録の1メートル76センチを3回目で成功させた。苦しんできた自分を、優勝という最高の結果で乗り越え“復活”した瞬間だった。

 吉田監督は「1年の時から勝って当たり前と言われてきたが、陸上は簡単なもんじゃない」と、じっくり寄り添ってきた。「今年に入っていろんなことが順調になった。優勝という形で終われたのも、悩んだ時期を自分で乗り越えた彼女へのご褒美だろう」。

 そんな苦闘の日々を送ってきた蓑輪。「(優勝は)素直にうれしい」と屈託のない笑みを浮かべた。競技後すぐに監督に駆け寄り、2人で涙を流して喜び合った。

関連記事