【論説】参院選の投開票から2週間。新しい議長などを決める臨時国会が開かれ、難病や重度の障害を抱える初当選議員の動向が耳目を集めている。一方で、改選過半数を獲得した安倍晋三首相は開票早々、改憲論議や消費税増税などに「信任を得た」と表明した。

 参院選の選挙区投票率は48・80%、比例区は48・79%。棄権した5割超の人たちは、こんなシーンを見て何を思うのだろうか。後ろめたさのようなものを感じているなら次回選挙に生かしてほしい。

 「関心がない」という人も2カ月後には2%余分に消費税を払わなければならない。「投票しても結果は変わらない」と思っていた人たちも予期せぬ変化すべてに白紙委任したわけではないはずだ。

 ■「合区」次は福井?■

 福井選挙区の投票率は過去最低、県内の国政選挙でも戦後最低の47・64%。12年に1度、統一地方選と重なる亥(い)年選挙は、選挙疲れで投票率が下がるとの説もある。だが、与野党が接戦を繰り広げた山形は60・74%、秋田は56・29%、東京も改選6議席を20人が争う激戦を背景に51・77%と5割を超えた。福井の「無風」ぶりが際立つ。

 気になるのは、38・59%と最も低かった徳島県の事情だ。2016年の前回参院選で高知との「合区」となり、今回は自民現職が比例代表の特定枠入りしたため、盛り上がりを欠いたとみられる。

 選挙後「1票の格差」を巡り選挙無効を訴える訴訟が起こされている。最大の格差は福井と宮城の3・00倍。違憲判決が出れば、福井は合区になる可能性がある。ただ、与党は定数を増やし特定枠を強引に設けた経緯がある。抜本的な選挙制度改革に踏み込むのか、注視する必要がある。

 ■18、19歳は15ポイント減■

 18、19歳の投票率の低下も深刻だ。4年前に18歳に引き下げられ、前回16年参院選の全数調査で46・78%だったのが、今回は選挙区抽出調査で31・33%と、15・45ポイントも下回った。18歳は34・68%、19歳が28・05%だった。

 19歳がより低いのは、高校卒業を機に、住民票を残したまま進学や就職で地元を離れ、現住所で選挙権がないことも大きな要因という。本人の自覚は無論、住民票を移すことを、大学や企業なども率先して推奨する必要がある。

 18歳については、やはり学校での主権者教育を徹底してもらいたい。最初の選挙で棄権するとその後も習慣化するという。その点、越前町の丹生高で1日限定ながら期日前投票所が開設されたことは評価したい。生徒の1人は「大人としての責任感が出た気がする」と語っていた。その気持ちを忘れないでほしい。

 ■女性割合、前回下回る■

 今回の参院選は、政党に男女の候補者数を均等にするよう促す「政治分野の男女共同参画推進法」の施行後、初の国政選挙だった。当選者124人のうち女性は28人。割合は22・6%と前回選挙の23・1%から後退した格好だ。

 野党は一定程度の数字に達している。問題は与党だろう。候補者に占める女性の割合は自民が14・6%、公明が8・3%と低調だ。安倍首相は「まだまだ努力不足」と弁解した。「指導的地位に占める女性の割合を20年までに30%」という目標に程遠い。

 以前にも増してSNS(会員制交流サイト)選挙の様相を呈したとされる。冒頭の2人を当選させた「れいわ新選組」や「NHKから国民を守る党」は追い風にしたとの指摘がある。若者ら無関心層を引き出す効果は既存政党も無視できない。

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