【越山若水】「や(8)」と「つ(2)」の語呂合わせから、きょうは「おやつの日」。日本おやつ協会がその魅力と文化を広めようと制定した。江戸時代、「八つ時(現在の午後2~4時ごろ)」に小腹を満たした間食を「お八つ」といい、のち間食全般を指すようになった▼機械化される前の農作業は重労働で、3度の食事では足りなかった。そこで福井県の農家でも、こびる(小昼)という間食をとった。「わかさ美浜町誌」によると、こびるにはサツマイモや餅、にぎり飯、大麦を炒(い)って挽(ひ)いた「はったい粉」などを食べることが多かった▼おやつは地域、時代によってさまざまだ。第2次大戦後、越前がにの豊漁が続いたころは、セイコガニが子どものおやつだった地域もあった。昭和世代には、米を膨らませたポン菓子が懐かしい▼白砂糖は江戸時代に国産化され、砂糖菓子やまんじゅう、大福など甘いおやつが登場し、庶民の間にも広まった。幕末福井の歌人橘曙覧の独楽吟に、こんな歌がある。「たのしみは木の芽瀹(に)やして大きなる饅頭(まんじゅう)を一つほほばりしとき」。木の芽瀹やしては、お茶をいれること。お茶を味わい、うまそうに饅頭を口にする曙覧の姿が目に浮かぶ▼お菓子を飲み物と一緒に楽しむ習慣は、世界各地にある。円滑なコミュニケーションづくりにも役立つ。笑顔あふれるおやつの時間は「平和」の証しでもある。

関連記事