試作版の防災システムの画面。赤い部分は急傾斜地崩壊特別警戒区域を表している(県民衛星技術研究組合提供)

 福井県や県内企業が2020年度の打ち上げを目指している超小型人工衛星「県民衛星」の衛星画像を、土砂災害予測などに活用するシステム開発が進んでいる。衛星から一定期間おきに地形を撮影し画像を比較することで、土砂崩れの前兆予測などに役立てる。まずは県での活用を想定しており、将来的にはほかの自治体や民間への販売を目指す。

 開発を進めているのは、県民衛星技術研究組合に所属する▽ネスティ(福井市)▽福井ネット(同)▽福井システムズ(坂井市)▽富士通―の4社。

 昨年試作版が完成し、改良を進めている衛星画像表示システムは、地図上に衛星で撮影した画像を重ね合わせて表示できるのが特徴。福井県内を撮影した画像を、一定期間後の画像と比較して変化を確認できる。これによって土砂崩れの予兆をつかむことが可能となるほか、森林の違法伐採箇所を把握する用途にも活用できるという。

 県民衛星は20年度上半期にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からロケット「ソユーズ2」に載せて打ち上げられる計画。宇宙で放出された後は高度約600キロの軌道で地球を周回する。地上の同じ場所を1週間間隔で撮影できる。

 既存の衛星で福井県内を撮影した画像を入手しようとすると、有料であったり、順番待ちになったりする。県新産業創出課の担当者は「衛星を打ち上げるなどの費用は掛かるが、福井県内の画像を無料で優先的に撮影できることが強み」と説明する。

 県民衛星は、同組合にも所属している宇宙関連ベンチャー企業「アクセルスペース」(東京)が開発している衛星と同型。同社は22年までに数十機の衛星を打ち上げ、世界中の陸地を毎日観測する「アクセルグローブ」計画を進めており、県民衛星はアクセルグローブを構成する衛星の一つとなる。同社の衛星が撮影した画像の提供を受けることも可能といい、将来的には週1回より高い頻度で同じ地点の画像を取得できる。

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 衛星画像表示システムは県民衛星打ち上げまでに完成させ、打ち上げ後に県で運用を開始する予定。システムには警戒区域、避難所、トイレの場所などの情報を加えて防災アプリとして一般に利用できるようにする。同課の担当者は「ニーズがあれば農業や観光に役立つ機能も追加していきたい」と話している。

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